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2009年06月 アーカイブ

2009年06月02日

プロレタリアート

プロレタリアート(ドイツ語: Proletariat)は無産階級を指す。カール・マルクスが共産主義革命を担う主要な政治勢力としての労働者階級と定義した。この階級に属する人をプロレタリアという。

古代ローマ時代の住民統計ケンス(ラテン語: Census:センサス→国勢調査)で、自分の子供以外に富を生み出す財産を持っていなかった階層の人々を指すものとして用いられたラテン語のProles(英語:offspring)に由来する。

フランスの二月革命など欧州各地で起きた1848年革命に強く影響を与えた、ドイツの学者ロレンツ・フォン・シュタインが1842年に執筆・刊行した著書『今日のフランスにおける社会主義と共産主義』で、この語を資本主義体制下の生産手段を持たない貧困階級の意味で使ったのが有意の初出とされる。

シュタインに学んだマルクスは、市民革命の主体となった財産を持ったブルジョワジー(有産階級)が資本主義体制下では資産を持った資本家階級(資産階級)としてブルジョワ民主主義体制下での支配階級に転じたと定義するとともに、資産を持たず収入を得る唯一の手段が自らの労働しかない人々(賃金労働者)をブルジョワジーに支配され対立するプロレタリアート(無産階級)に属すると定義し、共産主義革命の主体であると論じた。このマルクスの定義以降、マルクス主義者だけでなく広く社会主義・共産主義運動や労働運動で労働者階級と同義として用いられることとなった。

社会主義革命運動により資本主義体制が打倒され社会主義体制となった国では、ブルジョワジーに代わりプロレタリアートが支配階級であるとされた(→プロレタリア独裁を参照)。

また、政治・労働分野だけでなく文化・芸術分野でも、プロレタリアートを主題にその利益を主張したりするものにプロレタリア文化・芸術という名で用いられた。プロレタリア文学に代表される社会主義リアリズムによるものやソビエト連邦成立前後の一時期のロシア・アヴァンギャルドなどがこの範疇に含まれるとされる。

他方、社会主義運動による革命が成立せず資本主義体制が存続した国々でも体制を維持するため、労働運動により高まる労働者の賃上げ・待遇改善要求に応じ、参政権を資産の有無によって差別しない普通選挙の実施と福祉国家体制に移行した。この結果、賃金労働者であっても自宅不動産や自動車などの耐久消費財、さらには多額の現金・預金だけでなく資本家の証である株式といった出資証券までも含む金融資産も保有するようになるとともに(→新中間層も参照)、議会にも自らの利益を代表する議員を送り込めるようになったので、とりわけ労働者の政治・経済的地位が向上した経済先進国では「支配され従属した無産階級」という概念の実質は大きく掘り崩されるものとなった。
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1989年に起きた東欧革命と1991年のソ連崩壊でソビエト連邦や東欧の主だった社会主義体制国家が崩壊し、資本主義体制下で存続していた共産党をはじめとする数ある共産主義政党・社会主義政党も社会主義革命を目指した政党綱領を放棄し、あるいは綱領中で党がもっぱらその利益を代表するとしたプロレタリアート概念を取り下げて、特定の階級を代表しない、いわゆる国民政党へ転じたため、政治的に有意に用いられるのは存続した社会主義体制国家とその支配政党にほぼ限定されるものとなった。

ただし、新自由主義的な経済政策のもと、正規雇用にありつけず安定した生活が送れない多くの人々生み出され、経済先進国に出現した新たな貧困層をプロレタリアートになぞらえて不安定なプロレタリアート=プレカリアートと呼ぶようになり、この概念は姿を変えて存続している。

2009年06月20日

構造生物学(こうぞうせいぶつがく)とは

構造生物学(こうぞうせいぶつがく)とは、生物を形作る巨大な生体高分子、特にタンパク質や核酸の立体構造を研究する生物学の一分野。結晶学、NMR などの技術を用いる。

光学顕微鏡で観察が可能な細胞、そして構造解析(X線結晶構造解析、NMRなど)が比較的容易な低分子の生体分子(脂肪酸、補酵素など)に関しての分子構造研究は比較的古くから研究が発展していた。特に電子顕微鏡が開発された後は、比較的大型の生体分子(リボゾームなど)程度の大きさの観察が可能になった。

しかし、分子生物学が発展する前の半世紀前までは、まだ生体の主要成分と知られていたタンパク質およびDNAなど核酸の生体高分子の立体構造に関する知識はまだほとんど知られていなっかた。

そんな中、1953年にワトソンとクリックが遺伝子の本体であるDNAの構造をX線回折写真などの情報から2重らせんであることを明らかにし(X線回折像を実際に撮影したのはロザリンド・フランクリン)、DNA2重らせん構造に基づいていかにして遺伝情報が子孫に伝わるかが明確に示された。そして提案されたセントラルドグマによって分子生物学は黎明から一挙に飛躍の道を歩み始める。

タンパク質についてはX線回折実験によってえられる回折強度データから位相決定(いそうけってい)するまでのプロセスよりも、単純にタンパク質の結晶化に大量のタンパクが必要であることがネックとなり、当初はミオグロビン、リゾチームなどが試験された。日本で最初に得られたタンパク質立体構造はカツオ心筋のチトクロームcである。

現在は遺伝子工学的に大腸菌発現系で組み換えタンパクを大量に生産でき、またタンパク質結晶化へのプロセスも体系化されてきた。放射光という新しい強力で波長選択可能なX線光源が利用され、ヘンドリクソンによって新たなMAD法という位相法が開発されたことと、セレン化タンパク質の利用が開発されたことで1990年代に解析能力が指数的に増加した。また、この間に得られた回折強度データの処理、位相決定、構造精密化などのプロセスが飛躍的に進歩したソフトウェアとともに、グラフィクス技術を含むコンピュータの性能が指数関数的に向上してきたことから、蛋白質構造データバンク (PDB; http://www.rcsb.org/pdb/) に登録されるタンパク質立体構造は年々増加してきている。また、NMRに関してもコンピュータの発展はもちろんのこと、大腸菌発現系を用いて安定同位体を容易にタンパク質に組み込めるようになったために、分子量5万程度のタンパク質まで扱えるようになってきた。
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日本では、2002年度から5年かけて3000種類のタンパク質の立体構造解析を行うことを目標とした『タンパク3000プロジェクト』が進行中である。その拠点として世界最大のシンクロトロン放射光施設であるSPring-8(兵庫県佐用郡)とフォトンファクトリー(高エネルギー加速器研究機構、茨城県つくば市)が放射光X線結晶構造解析データ測定に使われ、理化学研究所横浜研究所GSC(神奈川県横浜市)のNMR施設でNMRを使って日本全国の大学、研究機関など構造生物関連の多数の研究グループによって日夜タンパク質の立体構造解析が行われている。

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